|
コラム
|
正直者は馬鹿を見るのか
西武ライオンズが2人のアマチュア選手に現金を供与していた問題は、人々に大きな衝撃を与えた。「カネで女性の心が買える」と言ってのけたのは、あの堀江容疑者だが、ルールに反してでもカネで選手を獲得しようとする根性は見下げたものだ。「栄養費」との名目だが、「そこまでして獲得したいのか」と嘆きたくもなる。のみならず、口止め工作まで企てていたのだから、開いた口がふさがらない▲金銭を受け取っていた1人は、早稲田大学の現役球児だった。計1,000万円だから、決して少額でない。悪魔の甘いささやきがあったことを差し引いても、学生野球憲章に違反していたのだから、無実ではない。本人にも、そしてその親にも、毅然と断る勇気が求められた。だが、最後は良心の呵責に耐えかねて自白し、猛省もしている。なのに、退部処分とは厳しすぎないか。もしかしたら、これで彼の野球生命まで絶たれることになる▲人の噂も75日というものの、「事実」はいつまで経っても風化させてはならない。昨年の6月、日銀の福井総裁の利殖行為が発覚した。村上ファンドに出資して1,500万円も儲けていたのだ。だが、利殖行為が発覚すると全額を慈善団体などに寄附し、そのまま図太く総裁の椅子に居座った。バレなければ、丸儲けしていたことだろう。金融の元締めが寄附によって免罪され、1人の球児が学生野球の世界から追放される―これに矛盾を感じずにはいられまい▲一方、鷺をカラスだと言い張る者もいる。そう、「なんとか還元水」を御飲みになっているという農林水産大臣様だ。無償の議員会館であるにもかかわらず、光熱水費が500万円も計上されていた。法律に則って「適当」、いや「適切」に処理しているという。さらに、虚偽記載もなければ、訂正することもないという。大臣の「説明」は、やや早いエイプレル・フール以外の何ものでもない。政府高官が自分たちに甘すぎるのか、それとも学生野球が厳しすぎるのか―いずれにしても、正直者が馬鹿を見る世の中は、実に嘆かわしい。
(平成19年3月21日)
|