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コラム
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達観することも宰相の資質
主義信条なのか、それとも意地を張っているのか―首相官邸は平成5年の河野談話を継承するとしているが、国会答弁を聞くかぎり、安倍首相は戦時中の従軍慰安婦の「強制性」について実に懐疑的だ。柳沢厚労相の「女性は子どもを産む機械」発言は、とりわけわが国の女性を侮蔑したが、河野談話を否定することは、わが国の外交関係に暗い影を落とす。安倍首相の対応が外国のメディアで大きく扱われていることは、意外に知られていない▲安倍首相は就任早々に中韓両国を訪れ、首脳会談を行った。小泉内閣時代に冷え切った関係を改善しようとしてきたことは、評価されてよい。だが、何故あえて河野談話を否定し、近隣諸国、とりわけ韓国との関係を悪化させなければならないのか。かつて昭和天皇がお詠みになった、明治天皇御製の歌「よもの海 みなはらからと 思う世に など波風の たちさわぐらむ」が頭をよぎる▲もともと今回の問題の発端は、米国議会にある。韓国系や中国系のアメリカ人が一部の民主党議員に働きかけ、決議を行わせようとしているのだ。アジア系移民の増加、議会における与野党逆転などを踏まえると、こうした動きは指して驚くべきことではない。確かに干渉される筋合いはないものの、一部の圧力団体、一握りの議員の動きに過剰に反応することもないはずだ。一国の首相やその周辺が過剰反応を示しているからこそ、大きな国際問題になりつつある。あのブッシュ政権でさえ、安倍首相の過剰反応に困惑している▲低迷する支持率を何とか好転させたい気持ちは痛いほどわかる。無党派層に見放されつつあるため、何とか保守層の支持をつなぎとめたい思いも理解できる。安倍首相は「支持率に一喜一憂しない。政治は結果責任だ」などと豪語しているが、今回の過剰な反応には焦りが透けて見える。しかし、安倍氏本人の面子や思いよりも、中長期的な国益を優先させることこそ、首相としての責務のはずだ。安倍氏にもっと大人になってもらいたい―そう願っている国民はすこぶる多い。
(平成19年3月7日)
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