コラム

これでは地域間格差は拡がる一方だ

去る16日、第30回日本アカデミー賞の最優秀作品が発表になり、『フラガール』がその栄冠に輝いた。昭和40年の福島県いわき市を舞台にした、実話にもとづく映画だ。さして悲しい出来事が描かれていないにもかかわらず、これほど感動で涙する映画は久しぶりかもしれない。相次ぐ炭鉱の閉山の中から、まちをどうやって蘇らせていくか、どうやって暮らしを立てていくか―家族や地域を想い、勇気をもって行動する少女たちの姿が琴線に触れる▲映画にならずとも、多くの地域でこのような努力が行われてきた。助け合いながら力を合わせ、昨日よりも今日、今日よりも明日を少しでも豊かにしようとする意気込みが、戦後日本の繁栄の礎にある。都市から地方への「仕送り」ともいうべき地方交付税や補助金も、均衡ある国土の形成に大いに役立った。世界第二位の経済大国に躍り出ながら、これほど貧富の差、地域間の差の少ない国は稀有であった。最近のアジア諸国を見回してみても、発展の一方で著しい格差が生じている▲行財政改革の名のもと、小泉・安倍内閣は地方交付税や補助金の大幅な削減を行ってきた。同時に、地域間競争も奨励している。確かに地方交付税や補助金によって、地方の中に「ぬるま湯体質」が芽生えたことは率直に認めなければならない。地域によっては、必ずしも必要でないハコモノなども建てられてきた。真に住民にとって必要なものか否かが十分に検討されないまま、予算が使われた例も少なくない。このため、一定の見直しに異議を唱える者は少ない▲しかし、共通の土壌=前提条件が整備されないまま、「さぁ競争だ」といわれても、それは公平な競争とはならない。生活環境インフラにしても、道路にしても、都市に比べ、地方はまだまだ遅れている。新たな発想と工夫によって地域を蘇らせようとしても、必要な財源も捻出できない。ヘビー級とライト級のボクサーをいきなり戦わせることには、土台無理があるのだ。地域間競争は大いに結構だが、そのためには、まずは共通の土俵を用意しなければならない。今の政策が続けば、都市と地方の格差は拡がる一方だ。

(平成19年2月21日)

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