与党は教育基本法改正案を、是が非でも今国会で成立させたいようだ。慎重審議を求める野党の反対を押し切って15日に強引に委員会採決を行い、16日の本会議で与党単独で衆議院を通過させてしまった。だが、「ちょっと待てよ」と思う国民はすこぶる多い。教育基本法を改正しなければならないことに異議のある者は少ない。しかし、「国家百年の大計」に関わる重要な政策だからこそ、慎重に進めなければならない。結論ありきの審議は、どう考えてみても、おかしい。小手先の「改革」だけが行われ、根本問題がなおざりにされることも強く危惧される▲もともと同改正案は、小泉内閣によって提出されたものだ。内閣が代わったのなら、本来は提出し直すのが筋だった。安倍首相は前内閣の「置き土産」に何の異存もないのだろうか。いや、そうではあるまい。公明党・創価学会に「特段の配慮」をした内容だからこそ、もはや一言一句、変えることはできないのだ。衆議院で300議席を有する自民党が、1つの宗教団体に振り回される姿は、悲劇を超えて喜劇に近い。耳を澄ませば、教祖様の高笑いが聞こえてこよう▲タウン・ミーティングでの「やらせ質問」も大きな問題である。「広く国民の意見を聞くため」と銘打たれた会合は、実は政府の「宣伝の場」にすぎなかったようだ。それも1回や2回ではない。これでは北朝鮮政府も顔負けだ。与党は「十分に議論を行ってきた」というが、「自公の妥協」と「やらせ」に満ち溢れたプロセスは、出来レースに等しい。茶番劇を数の力で正当化することは、断じて許されまい▲前内閣の「置き土産」といえば、自民党離党組の復党問題も然りである。来年の参院選に危機感を募らせているから、戻ってきてもらいたいらしい。反発する新人議員たちに小泉前首相は「政治家は使い捨て」と言い切ったそうだ。だが、異議を唱える者に「刺客」を放つ、タウン・ミーティングで「やらせ質問」をさせる、そして人間をいとも簡単に使い捨てる政治は、青少年の目にどのように映るのか。内容はもちろんのこと、プロセスやタイミングから見ても、今国会での教育基本法改正は見送るべきではないか。
(平成18年11月15日)