「長生きをして迷惑だったのでしょうか」とある老人がポツリと呟いた。「都会はいいなぁ、仕事も多いし」と地方に住む青年はうらやんだ。「改革とは私たちを苦しめることなのでしょうか」と主婦が嘆いた。こうした声は、政府の審議会に名を連ねる経営者や学者からは一切聞かれない。だが、紛れもなく国民の切実な声だ。かつての自民党は、競争と共生、都市政策と地域政策を見事に調和させた。しかし、今や弱肉強食と市場原理主義ばかりを賞賛し、ますます拍車をかけている▲国会論戦を通じ、徐々に安倍内閣の実態が見えてきた。「美しい国」といった美辞を謳っているものの、要は小泉政治の継承だ。煎じ詰めれば、「地域も人も、身の丈にあった生活をせよ」ということだろう。「助け合い」よりも「自助自立」が強調されるのも、このためだ。「再チャレンジ」なるものを掲げるが、強者のための再チャレンジなど、誰も求めてない。普通に生きてきた人々、生きている人々が自分の人生に誇りをもち、安心した生活を営めるようにすることこそ、真の格差是正ではないか▲もとより改革は必要だ。だが、普通の人々を苦しめる改革を巷では「改悪」という。消費税問題ばかりが注目されるが、この数年で国民の負担はどれだけ重くなったことか。行政サービスはどれだけ低下したことか。ヒルズ族はいいだろう。だが、額に汗して働く人々にとり、一連の「改革」はあまりにも酷すぎる。地方に住んでいることが不運であってはならない。普通の生活を送る人々が不幸になってはならない。そして、こうした声が政治に反映されず、片肺飛行が続いていることこそ、まさに国家の危機なのだ▲来年夏の参院選挙で与党が勝てば、この片肺飛行は間違いなく続く。もとより国民新党と民主党との間に政策的な差異はある。だが、小泉政治の流れにレッドカードを突きつけなければならない点では一致している。何よりも、参院選挙で与党を過半数割れに追い込まないことには、国民新党の政策も日の目を見ない。強者のための政治、富裕層のための政治ではなく、普通の人々のための政治、地方のための政治をいま一度実現するため、国民新党は他党と連携しながら堂々と「わが道」を突き進んでいく。
(平成18年10月11日)